絵師様、「推しボカロの声で推し曲が聞きたい」って思うことございませんか?ございますね~
というわけで、絵師様向けに入門講座やろうとしたんですが、どうも絵師様はVOCALOIDが動くほどのPCをお持ちでない御様子という話を聞きまして。
とりあえず、VOCALOIDが動くPCの選び方をお教えしましょう。
【絵師様向けPCの選び方】
0.必要スペックは?
・CPU:インテルのマルチコアならなんでもいいらしい。インテルって書いてあればほぼなんでもいい。
・RAM(メモリー):最低4GB。ぶっちゃけ4はきついので8GBがいい。
・モニター:フルHDないときつい。
大分ゆるく言うなら「インテルのi3よりいいやつで、RAM8GB以上ください」でOK。
1.絵師様向けPCでVOCALOIDは動くか
絵師様向けPCというのが世の中には存在します。クリエイター向けBTOパソコンというやつですね。ドスパラ・パソコン工房・ツクモ・マウスコンピューターあたりで、クリスタ用とされているモデルがVOCALOID5の必要環境を満たしているか調べてみました。
「スペックは」クリアしてますが、本当に動くかは知りません。
・debut! IE:クリア
・debut! IM:とても良い
・debut! RRR5-Q:アウト(たぶん動くけど)
・debut!XT:余裕
・debut!MX:余裕
・debut!HB:余裕
・Allクリア
・Allクリア
・Allクリア
2.iPhoneやiPad
あいぽんでアイビスやメディバン使って指絵師している方や、「あいぱっよかった」ツイートしている絵師様にはiOS用VOCALOID「Mobile VOCALOID Editor」がおすすめです。
— くろ州=歌声合成好き (@kM4osM_96s) September 15, 2019
とりあえず安い。VOCALOID5の場合、推し+Editor=約4万円しますが、MVEの場合、推し+Editor=約7000円ちょい。
iPadで絵を描きながら、たまに息抜きに推しの声を聞くというのができます。ただ、iPhoneだと画面が小さすぎて操作性があまりよろしくないので基本はiPad向け。
— くろ州=歌声合成好き (@kM4osM_96s) September 15, 2019
iPhone5s-XS Maxまでとりあえず対応。11はわからないですが多分使える。iPadの場合、10月1日にiPadOSというなぞのOSが登場するらしく、動くとは思いますが、ちょっと不安。
対応しているキャラは若干少ないので注意。いないのは以下の通り。
・V5組
・外国語ボカロ(CYBER DIVA・CYBER SONG MAN以外)
・クリプトン組(ミク以外)
・インタネ組(グミ以外)
・紲星あかり・猫村いろは
・兎眠りおん・杏音烏音・アルス・AZUKI・MATCHA・ミライ小町
・歌手音ピコ
・IA
・MAYU
・マクネナナ
・LUMi
これ以外であればいます。
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くろ州の合成音声備忘録
2019年8月31日、「VOCALOID2 初音ミク」が発売されてから12年経ち、世の小学生のほぼ全員が初音ミクより年下という世界線になりました。
で、そんな今日ですが、クリプトンから「VOCALOIDじゃない初音ミク」の知らせが届いたのです。どうやら、次の初音ミクはVOCALOID5ではなく、クリプトン自家製の歌声合成ソフトの音源になるらしいのです。YAMAHAと仲が悪くなったとかじゃないということなので、純粋に「そっちのほうがいい」ということになったんでしょう。
PiaproStudioをベースに独自エンジン(名称なし)を使って、開発中のエフェクターなんかも組み込みながらいろんな機能が追加されそうです。
新しい初音ミクは「VOCALOIDじゃなくなる」わけですが、初音ミクがVOCALOIDじゃなくなったら何が起きるのか? 過去の「○○じゃなくなったソフトウェアシンガー」のことも思い出しながら考えてみましょう。
【VOCALOIDと呼べなくなる】
VOCALOIDじゃなくなる以上、「VOCALOID初音ミク」とは呼べなくなります。いやまぁ呼んでも怒られないでしょうから呼べることには呼べるけど。
考えてみるとちょっと面白いんですが、VOCALOIDじゃない初音ミクを使ったオリジナル曲のニコニココメントに「これボカロ?」「これはVOCALOIDじゃない。○○」ってコメントがつくかもしれないんですよね!
YAMAHAさんは前から「VOCALOIDはYAMAHAの歌声合成ソフトを指すものであって、ソフトウェアシンガーの総称みたいな使われ方はしないでね」ということをずっと言ってるので、やっぱり次世代ミクは「VOCALOID」とは言いにくい。もちろん「ボカロ(広義)」には余裕で入ってくるので、実質的に「ボカロ」とは呼ばれるんでしょうね。
同時に、新世代ミクしか使わないオリジナル曲作者さんは「ボカロP」とも呼びにくいわけです。
UTAUやCeVIOを使った曲はニコニコで「VOCALOIDタグ」がつくことも多いんですが、UTAUやCeVIOを使うオリジナル曲作者は「ボカロP」ってあんまり呼ばれないんです。それぞれ「UTAUP」「CeVIOP」という風に「ソフト名P」形式で書かれます。これがそのまま踏襲されるのなら、新世代ミクユーザーは「ボカロP」じゃないことになる。
たぶんしっくりくるのは「初音ミクP」なんですけどね。初音ミクを「使いたい」人は、VOCALOIDを使いたいよりも初音ミクを使いたいんだと思うので。それがキャラが好きで使いたいのか、ネームバリューのために使いたいのかはそれぞれあるだろうけど、どっちにしても使いたいのは初音ミク。
最近だと、そもそも「俺はVOCALOIDを使っているが、ボカロキャラをプロデュースしているわけではない」という人も増えているっぽい印象なので、もしかしたら新世代ミクの登場で「ボカロP」という呼び方自体が薄れていくのかも。
【VOCALOIDって知ってます? 初音ミクは? って言いにくくなる】
VOCALOIDを説明するとき、割と多くの人が妥協案として「ハツネミクって知ってます?」っていうところから入ると思うんですが、これ言いにくくなるのでは?
UTAUやCeVIOを説明するにも「歌声合成ソフトって言って、歌詞と楽譜を与えると勝手に歌ってくれるソフトがあるんですよー」ではそんなに反応が良くない。そういうときには「ボカロとか初音ミクとかは聞いたことあります?」って言うといくらか反応が良くなるのでめっちゃ便利。
ソフトウェアシンガー文化論を展開するときも初音ミクはその代表例としてとても便利なのでよく使われる。
VOCALOIDじゃない初音ミクが登場してもVOCALOID初音ミクは取り扱いが続くので、「ボカロとか初音ミクとかは聞いたことあります?」から説明していっても全然間違いじゃないんだが、「でも、初音ミクはVOCALOIDじゃなくなったんですよ……」ってならない?
VOCALOIDの、場合によってはソフトウェアシンガーやバーチャルタレントの代表的存在としての初音ミクがちょっと揺らぐ。少なくとも最新のVOCALOID事情の具体例としては引っ張ってきにくくなる。VOCALOID初音ミクはV4までなので、V5の話をするときの具体例としては使えない。例えば、「音源付属のアタックリリースエフェクト」の話をするのにミクは使いにくい。
【VOCALOIDじゃない初音ミクは受け入れられるか】
初音ミクがVOCALOIDじゃなくなった場合、ユーザーやリスナーには受け入れられるのだろうか。過去に歌声合成を乗り換えたキャラの事例を見てみましょう。
歌声合成乗り換えには主に2種類あって、一つは「乗り換えるが、過去の製品は引き続き取り扱う」場合。もう一つは「乗り換えと同時に過去の製品は取り扱いを終了する」場合。
乗り換えた結果、ウケるかどうかは、キャラの力というか「歌声合成ソフト側の力」な気がする。音が変わらないなら、拒絶反応は起きにくい。
・VOCALOID IA
IAはもともとVOCALOID3のシンガー。IA→IA ROCKS→IA ECという順で音源を出していますが、IA ECはCeVIOで出ました。別にCeVIOに鞍替えするみたいなことを1stPlaceさんが言ってるわけではないので、今後IA V5(日本語)が出る可能性も(低いが)ないではない。
このときの乗り換え軸は、「歌声合成ソフト、言語」の二つ。VOCALOIDとCeVIOは声も操作もだいぶ違うし、日本語人が英語歌声合成を扱うのは普通に難しいので、乗り換えハードルがかなり高いものだった。
キャラには何の変化もないし、VOCALOID3の製品が取り扱い終了になったわけではないので、危機感がめちゃくちゃあったわけではない。よく話題になったのは「CeVIOに鞍替えするのか?」という話。今のところそもそも後続の音源が出てないので、もし、IA Japanese CeVIO(IA JC)が出るとかになったらそこそこのニュースになるかもしれないが、鞍替えするかどうかは不明なまま。
ポイントは声が結構違うというところ。最初のうちに出ていた公式デモを聞いた人の中からは「IAっぽくない」という声もそこそこあった。実際普通に違う。違うながらもある程度受け入れられたのは、ONEがいたからというのと、1stPlaceさんのプロモーションがうまいからというところが要因かと思う。
VOCALOIDの音が好きな人にとって、CeVIOの音は好みとはずれることも多い。波形接続系の音が好きな人と学習系の音が好きな人は結構はっきり分かれる印象がある。でも、IAの場合はすでに妹分ONEがいたので、CeVIOの音に多少慣れている人が多かったんじゃないかとも思う。IA EC動画にはたまに「ONEと似た声だね!」というコメントがつくことがあるが、姉妹感が強まったという解釈もあるのかもしれない。
さらに言えば、IA ECが出る前にCeVIOでIA TALKが出ていたことも影響はあるだろう。ライブや生放送でARIA姉妹は一緒にしゃべるし、IA ECのデモソングはやたらかっこいいので、1stPlaceさんはそういうキャラクターを活用した演出がうまい。IAファンの多くはちゃんと征服されたのでは?
ただ、ユーザー視点では、めっちゃ使われているという気はしない。たぶん英語ソフトウェアシンガーとしては普通に使われているほうだが。一番のハードルは英語だからというところに違いない。普通の人は英語曲そんなにかけないし、カバー専門の人からしても英語カバーの選択肢はそんなに多くない。CeVIOの操作はVOCALOIDと大分違うし、苦手な人も多い印象だが、それ以前に英語な部分でユーザー数は多くないもよう。
ミクの場合PiaproStudioベースで開発が進むなら使い心地がかなり変わるということもなさそう。
・Mac音ナナ
もともとはMacでDTMをする人向けに配布された音声集。UTAU-Synthで使ってもいいし、SugarCapeで使ってもいいし、単純にDAWに貼り付けて加工してもいいので「どの歌声合成出身」とも言いにくいが、最終的にはVOCALOID音源になり、もともと配布されていた音声集はもう手に入らない。
今頑張って「配布停止」の情報を探したけど、不自然なほどヒットしない。でも配布ページも見つからない。とりあえず、過去にはあったMac音家.netの販売ページはとっくの昔に消えているし、販売していたact2のページも404になっている。
元の音声集が配布停止したというのは大きくて、今でも嘆いている人をたまに見るくらい。Mac音ナナをもとから使っていた人はともかく、配布停止後に使いたくなった人はVOCALOID版マクネナナを使うしかなかった。とはいえ、おそらくVOCALOIDのほうがとっつきやすかったとは思う。人気動画の再生数はそんなに変わらない。作品の方向性は「UTAUっぽいMac音ナナとVOCALOIDっぽいマクネナナ」の違いを確かに感じるので、もしかしたらユーザーは結構入れ替わっているのかもしれない。動画投稿数はMac音ナナのほうが多い。
UTAU自体の導入ハードルはVOCALOIDより若干高い気がするし(個人の感想)実質人力ボカロ状態。SugarCapeやDAWでクオリティーを出そうとするのもかなり難しい。VOCALOID版マクネナナはその点、声の芯(密度?)がちょっと弱くなったが、滑らかさは高いし、安定してすっきりと扱える。
私はMac音ナナが生まれたころにはオタクじゃない小学生をやっていたし、VOCALOID移行期にもまだVOCALOIDよく知らなかったので当時の雰囲気は知らないが「滑らかさは向上、元音源は配布停止」ということになるとそれはもう大変なことです。ミクは停止しないようなのでその辺は安心。ツールも機能拡張ということなら、音さえ変な方向に行かなければおそらく全然大丈夫。
ところで、Mac音ナナの乗り換えの特徴として、「VOCALOID版はMac音ナナではなくマクネナナ」というところがある。名前が諸事情で変わっているんだな。
少し検索してみると、Mac音ナナ検索でマクネナナはほとんど引っかからないし、逆もしかりな感じ。初音ミクが「ハツネミク」に名前が変わるとかはたぶんないと思うが(確証ナシ)、その辺の検索分けはできるようにすべきなのか、すべきでないのか、すべきならどう分けるのかもちょっと気になる。
・闇音レンリ
UTAU→SynthVの乗り換えを経験。UTAUの配布停止はないので、今でも両方使える状態にある。↑二つと違い、「ツールは違うが、日本語→日本語で、元音源も続投」という意味では最も新世代ミクと条件が近い。
音の違いは甚だしくない。UTAUで合成エンジン「Moresampler」を使った場合の出音とSynthVでの出音はそこそこ近いので、そこでの反発はあまりなかったように思う。ポイントはツールのとっつきやすさかと思う。
音の違いはそんなにないものの、表現力ではUTAUに軍配が上がるだろう。UTAUのほうが多くの人が慣れているというのはもちろんだが、どうしたって「人間にしか聞こえないUTAUレンリ」の壁はだいぶ高い。いうなれば「アニメ一期がめっちゃヒットしたときの、スタッフ交代アリ二期」くらいのハードル。そう簡単に超えられない。
そういう意味では、今までUTAUレンリを使ってきた人からするとUTAUのほうがいいということにもなるんだろう。SynthV乗り換えで重要なのは「新規ユーザーの獲得」な気がする。
UTAUは快適に使おうとすると導入が結構難しい。UTAU経験者の友人と一緒に導入するが私のおススメだが、情報がいろんなところにあって混乱してしまうし、落とし穴が結構多いので挫折しがち。それに比べるとSynthVは、インストーラーを実行する力さえあればおおむねどうにかなる。
これによって、今までUTAUは難しくて使えなかった層がSynthVレンリを使っているという話はそこそこあるっぽい。「そりゃそうだわな」って感じの結論だが、ユーザーは好みによってツールを使い分けるわけだから、VOCALOIDミクが手になじむ人はそっちを使うし、新世代ミクが手になじむ人はそっちを使うんだろう。
クリプトン自家製歌声合成ソフトはスタンドアローンも用意されるらしい。PiaproStudioはプラグインタイプの歌声合成なので、これまでは「DAWが扱える人」が対象だった。歌わせるためにはDAWが使えて、さらにPSも使える必要があったため、作曲する人には好評な反面、DAWで躓いた人やそもそも作曲をしない人にってはとっつきにくい部分があった。
スタンドアローン化すれば、カバーしたい人やDAWで躓いた人も多少参入しやすくなるのかも。
そして、若干声が違う程度なら受け入れられるということもいえるかも。そもそもミクV2とMikuDarkほどの音の違いが受け入れられるなら、たいていのモノは受け入れられる気もする。結果的に新世代ミクの歌声が魅力的ならなんでもいいのだ。
・各種UTAU
重音テト、波音リツ、和音マコなど、UTAU音源の中にはほかのソフトでも音源を出しているものもいる。テトはHANAUTAUやVOCALOIDに組み込まれたりするし、いろんなソフトのデモで勝手に使われてたりもする。リツはSinsyやv.Connect-STAND等結構学術的な方面とのからみが多い。マコさんに至っては音源が作れる歌声合成ソフトにはたいてい対応している。
じゃあ、UTAUじゃないソフトで使われているかというと「それはない」というのが答え。たいていの人はそもそも↑のソフトを知らないし、UTAUは難しいながらも作れる歌声のクオリティーがだいぶ高いほうなので、私みたいな歌声合成ソフト好きでもなければ普通UTAU使うのだ。
新世代ミクの歌声合成ソフトが知名度が低いとかVOCALOIDより機能が少ないということはまず考えにくいので、使う人は使うんだろう。
【VOCALOIDとかとかの総称が本格的に必要になる】
ミクをVOCALOIDって呼びにくくなる、VOCALOIDタグをつけにくくなるというのはなかなかめんどい。UTAUやCeVIOもVOCALOIDタグをつけるのは割と一般的なので、新世代ミクの曲にVOCALOIDタグをつけるのもおそらく全然アリなんだろうが、「VOCALOIDとかとかをまとめて言う言い方」の必要性が出てきた。
今までもこの議論はずっと続いていて、結局のところ答えは出ていなかった。出たとしても一部の歌声合成議論好きの間でちょっと便利になるかな~くらいのモノだったが、いよいよ本格的に「○○ミク(VOCALOIDと新世代ミクを含む)」を言い表す必要が出てきかけているわけだ。
これについては先日一通り議論したのでこっちを見てください。
「歌声合成ソフトの総称」について、個人的な答えが出た。|くろ州 @96s_kM4osM|note(ノート) https://t.co/UJnKgcZxGR
— くろ州の記事と作品 (@96s_kM4osM) August 28, 2019
結論から言うと、「たぶんやっぱり"ボカロ"なんだろうなー」ですけどね。
【まとめ】
ともかくも、新歌声合成ソフトはウェルカムなので(ミクはV5対応しないよ。以上バイバイ!じゃないのは良いことだ)、これからも楽しく見守っていこう。
くろ州の合成音声備忘録
PiaproStudioというのは、基本的にDAW上で動くプラグインタイプの歌声合成ソフトです。作曲をするユーザーはこのプラグインタイプが好きな傾向が強い気がするんですが(DAW上で動くので他の楽器をいじるのと同じレイヤーで作業できるため)、それ以外のユーザーからすると「DAWをかまさないといけなくて難しい/めんどい」という理由で嫌厭されがち。
PiaproStudioはクリプトンボカロに付属していて、「最安でボカロ触るならPiaproStudioを触らない手はない」ようになっているので、難しかろうがめんどかろうが触らないといけないけども。
そんなこんなで、一部のボカロユーザーはPiaproStudioの単独起動版(=スタンドアローン)を欲しがっていたわけですが、今から約2年前にそれが登場したのです。PiaproStudioスタンドアローン。
数年単位で話題に乗り遅れていますが、この度スタンドアローン版を手に入れたのでレビューします。
【PiaproStudioスタンドアローン】
正確には「piapro studio Standalone」。初音ミクの中国語音源「初音ミク V4 CHINESE」にのみ同梱されています。つまり、初音ミクの中国語音源を買わないと手に入らないというわけですね。日本からなら、クリプトンの「SONICWIRE」からダウンロード版を買うのが一番簡単かな? V4C自体は1万円なので、初音ミクのライブラリの中では安いほう。ただ、日本人は普通V4C買わないよね。私は普通じゃないから買うけど。
というわけで、V4Cを買って、もろもろインストールして使ってみよう。
【プラグイン版PiaproStudioユーザー的な視点】
基本的に操作自体はほぼ変わらない。触っててちょっと気になった違いは3点くらい。一つは「リージョンを描かない」というところ。以下、めんどいのでプラグイン版をP版、スタンドアローン版をS版と呼ぶことにする。P波とS波みたいになってるけど気にしないこと。
P版では、ノートを描く前に「リージョン」を描く必要がある。ノートを置くための皿みたいなものだ。VOCALOID Editorでいうところの「パート」のこと。S版ではそもそもリージョンを描くことができない。直接ノートを置けばいいだけ。慣れるのにちょっと時間がかかるかもしれないが、これは別に良くも悪くもない。その仕様変更要る?って感じ。リージョンのカットや削除、ミュートなんかは普通にできる。
二つ目は「リバーブがついている」ということ。P版はDAW上で動くので、リバーブなんてのは機能として必要ない。DAW側に任せればいい。S版は右下の「AMBIENCE」ボタンを押すと、リバーブがかかる。結構深め。逆にかけられるエフェクトはリバーブのみ。基本的には書き出した後にDAWでMIXすることを想定しているのかな?
三つ目は「オーディオトラックがある」こと。これもスタンドアローンだからこその違い。P版はDAW上で動くので、オケやブレスは別トラックで扱えばいい。S版は別のトラックなんてのはないので、エディター内でオケやブレスを扱うことになる。これはVOCALOID Editor(スタンドアローン)と同じ仕様だといえる。
【中国語音源ユーザー的な視点】
中国語はピンインで入力する。漢字入力に対応していないのはVOCALOID Editorと変わらない。そういう細かいところは別に変らんのでいいんだが、とりあえず「初音ミク V4 CHINESE」しか歌わせられないというところがでかいんだな。S版で読み込めるのはV4Cだけ。ほかの中国語音源やその他の言語の音源は一切読み込み不可。これはでかい。俺はミクV4C以外には興味ねぇという方なら、特に問題はないかも。
でも、これ何が問題かというと「ほかの中国ボカロで作ったVSQXが使いまわせない」ということなんだな。もちろん、S版デモVSQXは読み込めるし、V4C自体にはほかの中国ボカロ用に作ったVSQXで歌う能力はあるんだが、S版には「歌手を変更する」機能がなくて(私だけのバグ?)、洛天依で作ったVSQXを読み込んで歌わせようとすると「歌手変更しないと歌わないのに歌手変更できない」ということになる。結果、VOCALOID EditorやP版でミクV4Cに歌手変更してから読み込むという無駄ムーブをかますことになる。それだったらEditorかP版使うくない?
そもそもS版を使う人ってどういう人なのかと考えてみよう。プラグインタイプが好きな人ならP版を使うだろうし、ほかの音源をすでに持っててVOCALOID Editor持ってる人なら慣れてるEditorを使うよね。となると、S版使う人は「P版で挫折したクリプトンボカロユーザー」か「VOCALOID Editor for Cubaseで挫折したCubaseユーザー」だろう。
この人たちはEditor持ってなくてプラグインタイプが苦手なので「それだったらEditorかP版使うくない?」に対しては「できればやりたくない/できない」派なんだろう。歌手変更だけならまだ許せるのかも。
【ミクユーザー的な視点】
ミクV4XやV4EとV4Cを併用したい場面がどのくらいあるかは不明だが、とりあえず、S版ではV4Cしか読み込めないので、併用するなら絶対にP版を使うことになる。使い分ける必要性は多分感じないだろうので、結局P版しか使わないという未来が見える。
【結果】
PiaproStudioスタンドアローンは「プラグインタイプの歌声合成が苦手な、中国語ミク単推し専用」歌声合成みたいなものだと私は理解した。とりあえず「スタンドアローンのPiaproStudioが欲しい」という理由なら、買っても何も起きないので注意。
くろ州の合成音声備忘録
「なぜ?」と訊かれるとちょっと答えが出てこないんですが、文科省のHPで「初音ミク」を検索すると何が出てくるのかちょっと調べてみました。
【議事録】
「人材委員会」「情報科学技術委員会」など、文科省で開かれている委員会の議事録に何回か出てきています。
「津波が来た時のことを考えると、津波は津波の研究者、陸上のことはほかの研究者というように分断されていると意味がない。それぞれのデータを持って交流・コラボレーション・協創する必要がある」という話を聞いた。シナジー効果は重要だ。例えば初音ミク。初音ミクはいろんなクリエイターがコラボレーションして、共創することでどんどん新しいものが生まれていくんだ。
みたいな具体例で出てきています。初音ミクの話をしている人はいつも同じ人なんですが、この人ミク好きなんですかね?
【教科書】
高校音楽の教科書に初音ミクが載ってたりする時代ですが、もちろん初音ミクが載ってる教科書も教科書検定を通過しているわけです。
今回検索してみると、初音ミクに関して検定意見が出ていたことが判りました。
指摘ポイントは「歌声合成ソフト初音ミク」という文言。これが誤解を与える可能性があると。
「初音ミクというライブラリ製品」は歌声合成ソフトって言ってもいいんでしょうけど、「初音ミクというキャラクター」を歌声合成ソフトって言ってしまうとそれは確かに微妙。この指摘した人かなりVOCALOID知ってる可能性あるぞ。
あとは、導入事例や実験授業レポートとかですかね。
くろ州の合成音声備忘録
ふと、「Guinness World Records=ギネス世界記録」の記録検索機能で「VOCALOID」って検索したら何が出てくるんだろうと思ったので検索してみました。
【最も人気なコスプレキャラ】
2017年3月末時点で、コスプレのコミュニティーサイトである「WorldCosplay.net」に投稿された初音ミクのコスプレ写真が8万5248枚だということで、「最も人気なコスプレキャラは初音ミクである」とギネス記録になっている。
【Youtubeで最も再生された、チップチューンアーティストによるオリジナル曲】
チップチューンアーティストが作ったオリジナル曲のうち、Youtubeで最も再生された動画は「Anamanaguchi」による「Miku」という曲。2018年4月10日時点で297万1086再生ということらしい。現在見てみたところ、525万8457再生になっていた。
これは、チップチューンに限った話なので、例えばハチさん作曲の「砂の惑星」は4千万再生で余裕でこれを超えているし、別に「最も再生されたボカロ曲」というわけではない。Guinnessの審査をスルーできるかは知らないが、「(Youtubeで)最も再生されたボカロ曲」はとりあえずギネスに登録されていないので、だれか調べて申請すればギネスに載るかもしれません。
パッと調べてみたところ、オリジナルじゃないけど和楽器バンドの千本桜が1億再生越してました。Youtubeで再生数調べるのムズイ。