初音ミクギャラクシーライブ(GL)というライブイベントがこの週末あったらしいです。これが「もっと上手に広報しようぜ」と一部で話題になっています。中身がよかったのに広報が残念だと。
まずはライブ情報ページを見てみましょう
なるほど。
※私は広報を仕事にしている人間ではないので(近接領域だけど)話半分に聞くべし。
【5W1H確認】
このページから、ライブの5W1Hを確認してみます。
・いつ
夕方7時
チケット販売時刻も案内アリ。ただし終了時刻がわからない。参加判断を下すのに重要な情報なので、基本的に記述必須項目。
・どこで
記述ナシ。多分「INSPIXアプリ」だろうと思われる。
INSPIXを知っている人なら、この情報はなくても「INSPIXでやるんだろうな」と分かる。INSPIXというのはバーチャルライブ配信プラットフォーム。他社アプリとの違いはスマホVRで映像視聴できたりすること。
Project G発表当初に「なんか知らん会社おるなー」と思って調べたから知ってたけど、多分調べないと入場方法までたどり着けない。
ただし、これはProject Gの公式Twitterでは案内があった。Twitterで補足できてれば普通に参加できただろう(そういう情報は“流れない場所”に固定で置いておくべき)。
・だれが
記述ナシ。INSPIXはやってるだろう。
厳密にはとりあえずクリプトンとパルス(INSPIX運営元)がやっている。書いてないけど。
・なにを
初音ミクのライブ
実はこのページだけ見ると「どういうライブなのか」はわからない。Project Gのページを見るとVRライブらしいことがわかる。
音楽ライブなのかトークライブなのかボカロP主体のライブなのかは判別できない。普通に考えたら「初音ミクが歌って踊るVRライブ」になるだろうからそんなに問題ではない。
ただ、「キャラライブだと思ったらボカロPライブだった」っていう広報ミス事例も過去にあったので、結構事故の元なのだ。中身は基本的に事前に伝えておくのが安全な感じ。
※Pライブがいやとかではない
・なぜ
理由は知らない。ビジネス視点では多分「ファン化(業界用語)」だと思われる。
初音ミクのオタクは多分有料ライブでも普通に金を出して見るので、基本無料設定にしているということは、なんとなく興味のある程度の一般の人→ファンにするってことじゃないの?とは思うが、実際のところどうなのかは知らない。
・どうやって
記述ナシ。
配信方法及び視聴方法の案内がない。ここが今回最大のミスともいえる。
INSPIXを知っていれば多分問題なくインできただろうが、配信アプリMirrativがAndroid版だけで100万DL余裕超えてるのに対し、INSPIXは5000越えで桁が何個も違うので知名度的に厳しい。
全体的にINSPIXを知ってる前提の情報出しな感じがしてしまう。
「参加方法はこちら」つってリンクを一個貼るだけで回避できる。
実際のところ、「リンク開けば見れるよ」くらい簡単なら会場リンク張るだけでもいいが、アプリ入れてスマホVR用のゴーグルとかも用意しないといけないというのは、普通にハードルが高い部類に入るはず。
事前に言われていれば普通に用意するが、当日気づいて急に用意するのはちょっと骨が折れる。スマホ用VRゴーグルってどこに売ってるの?
WhereとHowがどちらも見事に記述抜けした結果、どこでやっててどうやって入ればいいのかということが一切わからなくなってしまった。これがわからないと、ほかの情報が全部わかってていきたいってなった人も行けない。まずい。
・追加:金額
無料+ポストプライシング
これは一番最初に書いてある。多分これが一番重要だと思ったのだろう。
【必要情報と告知場所】
基本的に、商品の購入を決定するのに必要な情報は、事前にわかりやすく提示しておかないといけなかったはず(公正取引委員会がたまに言っている「必要な情報の開示」)。
例えば、値引きをした場合の値引き前の金額とか、商品の概要とか、他社比較の明確な根拠や調査の出典とか。わざわざ隠すと多分怒られる。
で、何が必要な情報なのかは時と場合によるから、商品の性質などによって適切に判断しないといけない。
ライブなら「何をやるか」「いつやるか」「どこでやるか」「いくらでやるか」は多分必要情報。
今回の例でいうと
(CFMとパルスが)26、27日夕方7時からXX時間、VRライブ配信アプリ「INSPIX」(iOS/Android)内で初音ミクのVR音楽ライブを無料開催
こうなる。これは広報とかではなく基礎情報。ただしこれだと「初音ミクという単語を見た瞬間に買う人」しか買わないので、ここに、「イメージビジュアルはXXさん」「イメージソングはXXさん」「スマホVR」「新規モジュール」「ポストプライシング」といった付加価値情報を加えて広報材料にする。
これらの情報で視聴者が獲得出来たら、残りは視聴方法を案内すればおおむね終了というわけです。
で、これらの情報は「固定の場」と「流れる場」に適切に流さないといけない。
必要な情報はすべて必ず、プロジェクトのホームページなど「参照元として用意した固定のサイト」に置いておかないといけない。SNSで流したら流れてたどれなくなってしまう。偶然ツイートされた瞬間に見てた人にしか届かない可能性もある。
付加価値を生む情報は、固定の場はもちろん、広報材料なので認知拡大のためSNSに流してアピールしたほうがいい。サイトに置いておくだけだと、見に来た人にしか伝わらない。見に来た人はすでに興味のある人だから、そんなに興味のない人に見せつけに行かないと客は増えない。
情報の見せ方にはプッシュ型とプル型というのがあって、平たく言うと「見せに行って興味を持たせる」「見られたときに引き込む」という感じになる。
必要な情報は誘因にはならないので見せびらかしてもしょうがないが、見られるようにはしておかないといけない。広報材料は見せびらかさないと見られないのでどんどんプッシュしていかないといけない。
今回の例では、「必要な情報が」「固定の場にちゃんと置かれていなかった」という2点の失敗なので、そこをどうにかすればいいのだ。
【まとめ】
人に見せられるものを作った
→ちゃんと見られるように必要情報を用意しつつ積極的に見せびらかされないと、見せたい人も見たい人も幸せになれない。
※私は広報を仕事にしている人間ではないので(近接領域だけど)話半分に聞くべし。
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