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VOCALOID音圧戦争とラウドネス

2017.03.16(17:03) 132

VOCALOIDが起こってから早十年。音圧戦争といわれる戦いが特に激しく途切れることなく行われてきた。

結論から言うと

大事なのは「聴き手にどう聞こえるか」である。

【音圧とは】
下の図を見てください
VU1.png 
ステレオ音源なので2列で1セットです。

上のセットと下のセットの波形を見比べてみるとかなり違うように見えますが、この2つは全く同じ曲の波形を表しているのです。

下の波形は上の波形に対して「音圧あげ」の一連の加工を施したものです。

「音圧」を視覚的に簡単にとらえるならこの「面積」といってもよいでしょう。青い部分(波形)の面積が大きいほうが「音圧」が高く、面積が小さければ「音圧」が低いと判断できます。

上の波形に比べて下の波形は音が大きい時間が長いというのはわかりますね? 下の波形はほとんど常にいっぱいいっぱいの音が出ています。

ということはこれらを聞いてみたときにどちらがより大きな音に聞こえるかというと、音が大きい時間が長い下の波形ということになります。

「音圧」というのは人間が感じる音の大きさの基準の一つです。機械での計測の結果音が大きい時間が長いものが「音圧が高い」状態です。

しかし、全編を通したとき最終的に「音量の最大値」は両者とも同じなのです。上の波形はほんの一瞬だけ音量の上限に達しています。

この音量の上限値の中でどれだけ大きく聞かせられるか。それが音圧戦争なのです。

なぜそれがそんなに重視されるかというと「音がでかいほうが迫力がある」からです。

木管5重奏と和太鼓パフォーマンスとでは音だけでも迫力が全く違います。


【ラウドネスとは】
日本語に直訳すると「おおきさ」だが、詳しく言うと「人間の聴覚を基準にした音の大きさ(の平均)」のことを指す。

人間の耳は機械とは違うので

・4.41万分の1秒の精度で音量を65536段階で感知する
・どんな高さの音も同じ基準で測定する

とかそんなことはできないのです。一瞬の大きな音は割と聞き逃すし、音の高さによって聞こえやすさが違うのです。女性の甲高い声と男性の野太く低い声では同じ音量でも女性の声のほうがよっぽどよく聞こえるのです。

というわけなので瞬間的な音の大きさはある程度無視して、音の高さによる聞こえ方の違いも考慮した音の大きさの基準ラウドネスです。


【聴き手のボリューム操作】
音楽TVなりプレーヤーなりで聞いてる人はボリュームを上げ下げしてちょうどよく聞こえるように操作しますね。

ここで重要なのが、

「聴き手は音圧を基準にボリュームを操作するのか、ラウドネスを基準に操作するのか」

ということです。正解は後者。なぜなら「ラウドネスは人間の聴覚を基準にしているから」

音圧戦争には実は見落とされがちな前提条件があり、それというのが

「聴き手の環境でボリュームのつまみが同じ位置にある」

ということなのです。ボリュームのつまみが同じ位置にあれば音圧が高いほうが大きく聞こえます。

でも実際には変えますよね。どのように変えるかというと「同じ大きさに聞こえるように」

この時、音圧が高い曲と低い曲はどちらが「音楽的か」という話になります。
ラウドネスを同じにした状態で先ほどの波形を見比べてみましょう。
VU2.png 
下の波形が「音圧が高かった」波形です。もちろんラウドネスが同じなので聞いたうえではだいたい同じ大きさに聞こえます。

違ってくるのはダイナミクスです。

上の波形では落ち着くところは小さく、盛り上がるところでは大きくなっていて曲にメリハリがあります。対して下の波形では常に大体一定。落ち着いていても盛り上がっていても同じなのです。

また、音圧を上げると「音量の大きいところを叩き潰して均した感のある音」になるとか「アタック感がなくなる」とかいう弊害があるのですが、その影響も受けてしまっています。

つまり、「聴き手にボリュームつまみを操作された場合音楽的なのは音圧を上げていないほう」なのです。

もちろん音圧あげを表現として使うジャンル・場合はそれでいいでしょう。

アルバムCDのマスタリングの段階でも聴き手が曲ごとにボリューム調整する面倒をなくすためラウドネスを統一するようにすることもあります。


【音量の自動調整】
ボリュームつまみをいちいち変えるのは面倒なのでCDやTVのラウドネスには基準がありますが、CDの場合は時代によってもかなりラウドネスが違うので「音量の自動調整」機能で対応するサービス・ソフトウェアもあります。

はっきり「ラウドネスを基準に調整しています」と言っているとは限りませんが、ラウドネス基準で自動調整する機能があるらしいのは

・iTunes
・YouTube

のようです。ニコニコ動画はラウドネスに関する記述が見つからなかったのでPeak(音量)基準なのかもしれません。

つまりニコニコでは音圧あげしても十分効果があるが、YouTubeやiTunesでは音圧あげしないほうが音楽的かも、ということ。
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