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大学の授業でUTAUを使う先生がいるらしいので対談してみたら「歌声合成と日本のICT教育」みたいな話になった件。

2017.11.14(19:17) 168

今回は京都精華大学でコンピューター音楽や音楽教育を教えていらっしゃいます落 晃子先生と対談してきました(@同志社)。

落先生は本務校京都精華大学のほかに同志社女子大学や帝塚山学院大学などでUTAUを使った授業も行う先生です。

ちなみに私は同志社VOCALOID研究会Arpeggioの学生です。

【対談の経緯】
UTAU音源Marineの中の人「うちの先生は授業中にUTAUを使う」
私「何それ対談したい」

~数か月後~

Mari中「対談取り付けてきたよ」
私「やっっっったああぁぁぁぁああああぁぁ!!!!」

「歌声合成と教育」というなかなか珍しいテーマの対談になりました。

【内容1 大学における音楽の授業と歌声合成】
Q.授業でUTAUを使っていると聞いたのですが、どういう風に使われているのでしょう?
A.作曲の授業をするときに「メロディーづくり」の導入として使っています。同時に打ち込みの練習するのにも使えます。

大学での授業で使われているのはMac版のUTAU-Synthのほうだそうです。メロディーを担当する楽器としてはもちろん歌声以外もありますが、ジャンルの特性(授業はアニメ・ゲーム音楽を扱うものらしいです)からしてシンセリードかボーカルになりますね。メロディーをイメージするのにはいい楽器なわけです。そういう意味ではVOCALOIDでもCeVIOでもいいわけですが、「日本語で」「無料で使えて」「クオリティーの高い歌声」を合成するという目的ではUTAUが適任なのでしょう。無料が強い。


打ち込みの練習としても使えるらしいです。基本的にはモノフォニック(同時発音が1音のみ)なのもよいのかもしれません。ここでMac版を使う意味が出てきます。もちろんハード的な意味で使っているというのが大きいわけですが、Mac版UTAU-SynthはMIDI打ち込みに近いんですね。

※UTAU-SynthのUI
UTAUSynth.png 

Windows版のUTAUは休符を打ち込むというMIDIの打ち込みからしたらおかしな仕様になっているのでこの用途には不適切なわけです。私は「伝統的な楽譜」があってそれを打ち込むとかいう場合であればありかなとは思います。

※Windows版UTAUの休符
休符 

さらにいうと、メロディーづくりをわかりやすくするためにUTAUを使っているので連続音だとかCVVCだとか技術的な内容は触れる必要がないんですね。Windows版UTAUの初心者躓きポイントの一つである音源形式は作曲者からしたらシステムの中で自動でうまいことやってほしい所です。「あか」って入力したら「あか」と歌ってくれればいいのです。

Windows版UTAUでは基本その辺を意識しないといけないわけですが、Mac版UTAU-Synthではその辺は意識しなくても勝手にしてくれるので都合がよいのです。

DTMをやってる人からすると当たり前の事ではありますが、MIDI(=楽譜データ)とオーディオ(=波形データ)は別物です。これを感じるのにもちょっといい点があるようです。レンダリングですね。UTAUのシーケンスデータはMIDIとはまたちょっと違うわけですが、楽譜データ→オーディオデータにする段階でタイムラグがある(レンダリング中)のでなんとなく別物なんだなーということが感覚的にわかることもあるそうです。

【内容2 UTAUとの出会い】
Q.そもそもどこで歌声合成やUTAUを知ったのでしょう?
A.現代音楽の人脈の中で知りました

考えてみれば普通の事ですが、現代音楽と歌声合成ってかなり相性がいいんですよね。むしろ初期のボカロ曲の、人には歌えない速さとか高さは現代音楽的アプローチとしてみることもできるかもしれません。

そんな中で初音ミクの「ミクロコスモス」を作った方との交流から歌声合成に興味を持ったそうです。


UTAUを知ったのは無生物音源(歌う無生物)がきっかけだったそうです。


これもまた考えてみればしっくりくるんですが、UTAU無生物と現代音楽もいろんな意味で相性抜群なんですね。

【内容3 歌声合成と日本のICT教育】
教育のお話になりますが、日本は現在ICT教育を激推ししておりまして音楽教育にもその影響が現れだしているそうです。音楽に限らないことですが、ICT教育は今のところ「今までもやっていたことだが、ICTを導入すると便利になる」ということであれば特になんということもなく浸透していきそうな雰囲気はあります。もちろんまだ機械不信な先生もいるらしいですが、問題は「ICTによって現れた今までにないこと」です。

という話を掲げておいて、「VOCALOID教育版」の話に移ります。


YAMAHAさんの授業指導案などを見ると、VOCALOID教育版の使いどころは「作曲」のようです。皆で共同作曲をするという授業の中で自由に歌わせられる(音程に関しては自分で歌うよりも正確)VOCALOIDをいじり、試行錯誤しながら作詞作曲していくことで云々ということらしいです。

で、最終発表という段になると生徒が自分たちで歌うんですよね。つまり仮歌を作る用途での利用となります。

作曲する段において試行錯誤がしやすい(人が歌うより再現率が高い)のは確かに便利かもしれません。

小学生を授業の対象としたときに、メロディー作りましょうってなってパソコンから歌声が出てきたらかなりテンション上がるんじゃないでしょうか。小学生のモチベーションを保つのにもってこいの題材ですね。

歌声合成からはちょっと離れますが、シンセサイザーの話をしました。

「ICTによって現れた今までにないこと」の一つとして「シンセサイザーでの音作り」があるとのことでした。

今までは作曲するにしても「音作り」はしなかったわけです。木琴を使うのか鉄琴を使うのかという「音選び」です。DTM的に言えばプリセット。

シンセサイザーでの音作りはプログラミングの観点からも面白く、音楽的な意味でもとても楽しい作業ですね。つまみをいじったりモジュールをつないでみたりして実験しながら好きな音を探っていきそれを使て曲を作る。とても魅力的ですよね。こういうのは知育玩具にも現れました。「リトルビッツ」というもので、ブロックのようにつなげたり外したり組み替えながら音を作っていきます。


今までにないことを受け入れるのは時間がかかりそうでもありますねー。

【内容4 小話】
初音ミクとDX7
 初音ミクのデザインには往年の名器と言われるハードウェアが混ぜ込まれているわけですが、これはDTM黎明期からDTMをはじめ衰退期にも生き延びていたDTMerをターゲットにした結果と聞いたと聞きました(二重伝聞)。確かに初音ミクが出たときの若者にDX7って言っても通じないですよね。キャラ絵と萌え文化の関連で若者もターゲットにできたのは強い。

CeVIOで授業
 風邪をひいて声が出ないときにCeVIOトーク機能であいさつしてみたらバカ受けだった話。それでこそTTS(TextToSpeech)。

仮歌に学習系歌声合成
 仮歌に歌声合成を使う流れは来ているという話。VOCALOIDだとさすがにベタ打ちでは物足りないのでCeVIOのような学習系の歌声合成を使うのもあり。VoiceTextのようにベタ打ちでかなり勝手に表現してくれるものもある。仮歌にしては表現しすぎかもとも。


Renoid
 WindowsでもMacでも関係なく使えて、上記の教育的要求に十分に耐えられる歌声合成と言えばRenoidPlayerですよと言う話。


肉声至上主義の学校
 先生も都市伝説だと思っていたらしいですが、お昼の放送でボカロ曲禁止という学校は実在するという話。教育的に考えて別にVOCALOIDが歌ってても別に問題ないと思うんですけどねー思想傾向としてちょっと流しにくい曲はピンポイントであったりしますが、それはVOCALOIDのせいではないですよねーという雑談。

京都精華大学
 Q.精華大学では夢眠ねむさんと黒田亜津さんのVOCALOID授業イベントがありましたが先生は関係ありますか
 A.私ではなくて別のVOCALOID先生です


同志社女子と帝塚山
 Q.この二つの大学では蔵書検索するとUTAUパーフェクトマスターがヒットするんですが何か関係ありますか
 A.シラバスに書いたら入ったみたいですね

UTAU他歌声合成を使った授業をする先生
 ほかにも歌声合成ソフトを使った授業を行っている先生はちらほらいるそうです。初音ミク文化論みたいなのはたまに見ますが音楽の授業もやはりあるんですね。

授業中にUTAU音源収録
 作曲の授業ではヘッドフォンしながら大学生たちがDTMしているらしいですが、先生も含めて静かにしてるのでそれを利用してマイクを持ち込んでUTAU音源を作って使った生徒さんがいたらしいです。90分あれば何でもできますね。講義中の先生を録音するというのは定番ですね。

なかなか聞けない教育と歌声合成&シンセサイザーのお話でした。
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