さて、先日から公式サイトでリリースまでのカウントダウンが始まっていたSynthVですが、ただいまサイトがオープンしました。
※カウントダウン画面
ロゴがかっこいいですよね。
事前に公開されていた英語版カバー動画も調声がcilliaさんでMIXがnikiさんでという超豪華仕様だったのもあってクオリティーが高く特に英語圏からの期待値が高かったように感じます。(当時の記事はこちらから)
とりあえず動画を見てみましょう。
過去のどの歌声合成と比較しても聞き取りやすい英語の発音が話題を呼びました。
ちなみに、現在(2018/8/18/22:00)ニコニコ動画に上がっているSynthV動画4件を見てみると
タイトルでの表記:SynthV
タグにおける表記:SynthesizerV
ということにおおむねなっていて、そうすると検索によさそう。
正式が「SynthesizerV」で通称「SynthV」ということらしい(伝聞)
今回のリリースはあくまで「テクニカルプレビュー版」で、一度公開していろいろ意見をもらいながらこれから改良するかもしれないという段階なので、正式リリースではない。
【特徴】
・軽い
動作はかなり軽快。VST系歌声合成には勝てないけど結構迫ってる。
・英語上手い
上のカバーを聞いてもわかる通り英語がかなり上手。EmVoiceといい勝負である。
ゆうてSynthVのほうがEmVoiceより確実にバーチャルシンガー文化にはなじむだろう。
【導入】
・ダウンロード
公式ホームページのダウンロードボタンを押すとダウンロードページへ行きます。
WindowsならWIN32、Ubuntu他ならLinux64をダウンロード
・インストール
インストーラーはなし。落としたZIPを解凍すればOK。このとき、フォルダ名に日本語(正確には2bit文字)がない場所に置くようにしましょう。
例えばC:SynthV(CドライブにSynthVというフォルダを作って突っ込む)
中に入ってるSynthesizer V - Editor.exeを実行すれば立ち上がります。
※2018/08/20時点のアップデートで解消されました。
・マニュアル
日本語マニュアル付属しています。超入門的な内容ならそれでわかる。
【基本操作】
・テンポ/拍子とグリッド
ピアノロール上部の時間表示バーを見てください。これの上半分をダブルクリックするとその時点からの拍子が設定できます。整数のみ打ち込み可能で、n/4拍子にのみ対応。
テンポは同じく時間表示バーの下半分をダブルクリックで以下略。やってみたところBPM5でも5000でも再生自体は出来た。
グリッドは「表示→グリッドを表示」で表示可能。グリッドの幅は「表示→グリッドに揃える」から指定可能。
・音源の読み込み
一番最初に音源を読み込みます。「設定→音声ライブラリ」で読み込み窓が出るので、「音声ライブラリー」の項目を「Eleanor Forte」にしましょう。
インストールの項目で言ったように、SynthVが日本語名のついたフォルダに入ってるとここでエラーが表示されます。このエラーはSynthV関連フォルダを日本語名のついてないフォルダに移動すれば解消されます。
※2018/08/20時点のアップデートで解消されました。
・打ち込み
通常の状態だと、ピアノロールをダブルクリックするとノートが挿入され、ノートの右端をぐりぐりいじれば長さが変えられます。
左上のアイコンが鉛筆になっているとき(ノート作成モード)はドラッグアンドドロップでフツーにかけます。ノートを書くときはこっちのほうが楽。
ノートの移動や長さの変更はアイコンが矢印になっている状態でやったほうが楽です。
ノートとノートの間が1/16空いてると発音が切れます。それ以下なら滑らかにつながる。
・歌詞入力
TP版では英語のみ。SynthVのいいところは自然な英語で入力できるところ。
VOCALOIDのように英単語を入れてやれば大体読んでくれます。
「I'm a singer」って打ち込めばその通りに(かなり上手に)発音してくれる。
一つのノートに複数音節入れるのも可能。使いどころは知らない。
歌詞の流し込みも可能。流し込みたい最初のノートを右クリック→「歌詞入力」かCTRL+Lでウィンドウを呼び出しましょう。あとは歌詞を書けばOK。
TABキーで次のノートへ移る機能はなし。UTAUの人は気にしないだろうけどほかの人には厳しいかもしれない。
・特殊ノート
「-(半角ハイフン)」ノートは直前のノートの発音を引き継ぎます。ノート分割に使う。
「.Sil」ノートは発音をせき止めます。「.Asp」他発音不可能音素でも発音自体は確かに止まるけど語尾の処理が少し違ったりするらしい(伝聞)。
【パラメーター】
・編集モード
声質等をコントロールするパラメーターは3つのツールで描くことができます。
・フリーハンド:手描き(まんま)
・直線:直線が描ける(まんま)
・消しゴム:消せる(まんま)
・ピッチベンド
普通にピッチベンド。VOCALOIDのPITにピッチカーブのリアルタイム描画を付け加えたようなもの。PiaproStudioよりもリアルタイム。
VOCALOIDのPITが得意ならVOCALOIDよりは使いやすいはず。逆にVOCALOIDのPIT苦手な人は厳しいと思う。
左端に「300セント」と書いてあるのはピッチの効き具合。クリックすると600、1200セントに切り替え可能。それぞれ1.5半音幅、半オクターブ幅、1オクターブ幅。
・ビブラートエンベロープ
ビブラートの振幅をコントロールできます。CeVIOのVIAやPiaproStudioのビブラートデプスに近い。
・ラウドネス
音量。
・テンション
歌声の力強さをコントロールします。下げれば囁くように、上げれば叫ぶようになる。ボーカルの強弱は基本的にここで作っていってVolumeで補正する使い方がいいんじゃないかと思います。
Sharpkeyの「力度」パラメーターと似たような機能で、使いどころも大体同じですが結構質感が違うので好みは分かれるかも。少なくともVOCALOIDのBRIよりははっきりと効きます。
・ブレシネス
息成分の量。上げれば増えて、下げれば減る。Sharpkeyの気声パラメーターに近い挙動。語尾息を作ったり、子音の部分で下げてディエッサー代わりにしたりできる。・有声音/無声音
これはSynthV特有で、しかもクオリティーが高い。一番下まで下げるとひそひそ声(無声音)になります。寝起きドッキリ音声作れる。裏声を作るときにテンションと併用すると効果的。・ジェンダー
よくあるやつ。下げると幼く、上げると響くようになる。【その他機能】
・発音記号
基本的には英語でそのまま入力可能だが、発音記号での入力も可能。
方法としては
A.英語で打ち込んでCTRL+Pを押す→発音記号に変換されるので記号で編集
B.「.xxxx」のように「.(ピリオド)」付きで発音記号をそのまま入力
あたり。発音記号はArpabet。一部のUTAU英語圏やIA Englishの人にはなじみのある方式。
・インポートとエクスポート
Point1:USTインポート可能
MIDIもインポートできるが、USTの読み込みに標準対応。
Point2:オケ読み込み可能
WAV、FLAC、OGGに対応していて、バグることもあるけど一応MP3、WMAにも対応。
ボーカルのエクスポート
「レンダリング→音声ファイルの生成」でボーカルのみ書き出せる。書き出しスピードは速め。
・UIの言語
いろんな人々の協力により、日本語/英語/中国語(簡体字/繁体字)/韓国語に対応しているようです。切り替えは「settings→preferences→general→GUI language」で好きな言語を選べばOK。
言語ファイルはただのTXTだったので気になる訳があれば自分で直せるし、ロシア語やギリシャ語GUIも作れる(アラビア語は無理だった。NotoSansにある文字のみ使える)
・UIのカラーリング
「設定→環境設定→一般→カラー設定」からプリセットをいくつか選べる。基本は今風のダークなデザインだけど、一つだけ明るいカラーリングのプリセットがあったりする。隣の編集ボタンを押すとかなり細かく色を変えることができるのでそういうの好きな人は変えて遊んでも楽しいと思う。・オーディオデバイス
オーディオデバイスを設定できるのいいね! ASIOには非対応。・ミキサー
オケのトラックとボーカルのトラックの音量がそれぞれ変更可能。ALT+Mで呼び出すか右上のヘッドフォンボタンで開くか。ところで複数トラック作れたりはしないんだろうか?
・音符属性(ノートのプロパティー)
ノートを右クリック→「音符属性」かCTRL+Bで呼び出せるパネルでは、かなりいろいろできる。私ほぼすべてこれで調声するくらいの勢いで使う。操作はウリウリして遊んでればそのうち覚える。
ノート個別ではなくて全体に一括で設定する場合は後述の「音声ライブラリーの設定」から行う。
・ピッチトランシジョン
ポルタメントに関する項目。ポルタメントのタイミングと長さと深さをコントロールできる。ピッチベンドで描くのが無理だった人はこれを使うべき。
このくらいならピッチは全く描かなくても作れる
・ビブラート
ビブラートに関する項目。UTAUほどわかりやすくもないが、機能は大体同じだけある。リアルタイムに変化が見えるので見ながらいじろう。
・ノート時間
発音タイミングに関する項目。発音タイミングを前後にずらしたり、頭子音の長さを変えたり尾子音の長さを変えたりできる。VOCALOIDでいうVEL/UTAUでいう子音速度がノートの最初にも最後にもついている感じ。
【えれのあとーく】
SynthVは英語の発音がとても良いのでしゃべらせてもちゃんと聞き取れる。
ちょっと質感付けてみた。
— くろ州=すーぐすねる (@96s_kM4osM) 2018年8月20日
SynthV Talk楽しい。 pic.twitter.com/SSeiPqgWQv
この動画のように長めのノートを打ち込んで、英文をそのままポイっと書き込んでやれば読んでくれる。あとはピッチ他パラメーターをチョチョっと描いてやれば完成。
もちろん音節ごとにノートを分けて作っていくのもあり。いずれにしてもいいカンジに発音をつないでくれる。
Tensionパラメーターを使えば発音のメリハリもつけられるのがいいところ。前置詞がちょうどよく埋もれる。
【エレノアに日本語を歌ってもらう】
方法を雑目な記事にしました。
【ライブラリとキャラクター】
当初「ENG-F1」というめちゃ製品コード感あふれるサイバーな名前だったため、キャラクター創作文化の中でどういう動きをしていくのかな~とか思ってましたが、一部キャラがついたようです。
・英語音源
名前:Eleanor Forte
性別:Female
出典:https://synthesizerv.com/download/
これはまたずいぶんとガチなの来たな。英語音源は確実に流行るぞ。
・音声ライブラリー設定
・音色:デフォルトの声質。【パラメーター】参照
・歌詞:打ち込んだときに最初に入る歌詞。「-」にしておくとノート分割がはかどる
・以下:音符属性(ノートのプロパティー)参照。基本の歌い方はここで設定する。
【今後の展望】
・しらん
私は外部の人間だし、マニュアルにはほとんど情報が載ってないのでよくわからない。というか基本的に歌声合成ソフト制作者はどのソフトにしてもマニュアルに全機能書くということがほとんどない。この記事も足りないところはいっぱいあると思うけどその辺は関係者に聞いて。私も教えてもらったら記事にするだろうけど。
今出ているのはテクニカルプレビュー版ということもあって、改善要求は絶賛受付中らしいので文句があるなら公式かクローズドβ組に凸ろう。
どうも開発にかかわった人にUTAU技術勢が多いのと、日本で触っていろいろ言ってる人もかなりの割合でUTAUの人っぽいので、改善要求の内容がUTAUっぽくなっているようには見える。
これから、中国語音源や改訂版日本語音源もそのうち出てくるだろうし、十分改善案が集まっていろいろ作り直したら今とはまた少し違う正式版がそのうち出てくると思うので、それを待とう。そう、実はまだプレリリースみたいなもんなので騒ぎ立てるには早すぎるのだ。
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